2009年12月15日 もうすぐカトマンズに着くという機内アナウンスが流れてきて、窓を覗いた。ヒマラヤの神々しい山々が目に飛び込んで来ると、また来たな、とわくわくしてきた。田渕先生のライフワークである、90メートルのヒマラヤ画を描くサポーターを組織してエベレスト街道に向かっている。日本を代表する大企業の責任者など社会的にも重要な役割を持った方も、今回サポーターとして参加してくれた。ありがたいことだ。自分のライフワークとしても田渕先生のライフワークを完成させたい、この思いが窓の向こうに見えるヒマラヤを見てさらに強くなった。 成田を飛び立ちバンコク経由でカトマンズに、そこで1泊したのちエベレスト街道の出発点ルックラに11月8日に到着した。山の斜面に作られた飛行場にふわっと降り立った感じがした。良かった無事着陸できて、この飛行場には前回もスリリングな思いをさせてもらった。 いよいよトレッキングを開始する。 チベット仏教のお経が書いてあるマニ石が見えてきた。マニ石のまわりを左回りに回るのだそうだ。 ネパールでは人々におもてなしをするとき香木を焚いてもてなす。玄関などの入り口に香木を焚いた入れ物を吊す風習が、その香りとともに我々を迎えてくれた。香りというのは不思議な効力があるようで歩いてきた疲れが取れた気がする。彼らはこの香りの風習に、仏さまに捧げるという気持ちと、もてなす、癒す爽快にさせるなどの医療になるという効果を見いだしていると聞いた。カトマンズには一子相伝のお香の薬屋がある。このお香による医療という行為は、実は私の人生の一つのテーマにもなっている。
トレッキング街道では、どの民家のトイレを使ってもよい。なにか他への思い入れの原型をみた気がした。行き交うものは人とヤクのみの道をナムチェバザールに向かった。 サーダといわれるポーターの頭(かしら)、コックの頭など総勢15名のスタッフが自分たちで料理を作りながら登っていく。 白濁職をした川に沿ってトレッキング街道を歩いて行く。青い空に川の音が調べをなす道が、足を前に進めてくれた気がしたのは私だけではないだろう。とても素晴らしい天気の中にエベレストと右にローツェが木々の中に見える。エベレストの頂上では雲は必ず西から東に流れている。地球は自転しているんだなと感じるときの風景だ。 ナムチェバザールに着くと、まさしくバザールが開かれていた。登山用品から医療品などがいっぱい並べられている。シェルパの里に着くと疲れを吹き飛ばす歓声が、みんなから自然にあがった。楽しい。ここで先に着いていた田渕先生と合流する。 夕暮れの陽の光が、山を、麓をそしてナムチェバザールの村を包んでいく。 |