2011年7月26日〜8月5日 夏真っ盛りの7月26日、私は羽田発の深夜便でロスへ飛び立った。一足先に美術研修のため渡米していた田渕隆三先生と合流し、コロラド州デンバーからボストン、NYを巡り、以前館内に立ち入ることの叶わなかったメトロポリタン美術館を訪れるのが目的である。 私と落ち合う直前まで田渕先生はグランドキャニオンにおられ、三日間、飲まず食わずの状態で絵を描き続けていたのだと言う。そんなお話を伺いながら我々が向かったのは、サンタモニカの海とUCLAのキャンパスを見下ろす丘の上に建てられたゲティ・センターであった。 ゲティ・センターとは、1983年にJ・ポール・ゲティ財団がサンタモニカ・マウンテンの麓に約300ヘクタールの土地を購入し、翌年、各国の建築家の中からリチャード・マイヤーを選び、設計を依頼した美術館である。建築のモダニズムに貢献したことで有名なマイヤー氏は、彼特有のスタイルを古典的な素材と融合させ、ゲティの歴史的ルーツと未来に対する信念を表現することに成功。1997年12月に開館した。 ここにはルノワール、モネ、ドガといった印象派の絵画が数多く所蔵・展示されており、中に入られた田渕先生は、早速ミレーの絵を模写し始め、田渕先生のお弟子さん達も世界の超一級美術品を前に皆、目を輝かせていた。私も作品と対峙するにつれ、雄大な美に対する姿勢をとても強く感じたのだった。 館内から外へ出ると、広々とした丘の頂上からロスの中心街を見渡すことが出来る。それを眺めながら我々一行の美術談義は熱く盛り上がった。 ゲティ・センターを後にした我々が次に向かったのは、ノートン・サイモン美術館である。パサデナ市にあるこの美術館は、世界でも有名な個人の珍しいコレクションとして知られており、レンブラントやルーベンスなどルネッサンスから20世紀中期のヨーロッパ美術品の数々がコレクションされている。 美術館の入り口近くにはロダンが、中庭にはマイオールの彫刻が多数並び、田渕先生はそれらの前で、芸術における彫刻の重要性を熱っぽく語った。また、ルノワールの名画を目にした際には、これぞ美の究極だ、と溜め息を吐きながら呟かれた。 その後、アメリカ創価大学を表敬訪問した我々は、ガンジー像の前で記念撮影した。 |