第2507回 丸の内朝飯会 平成29年7月13日午前7:30~8:45 *本稿は、当日の内容をベースに一部加筆訂正した上で掲載した。なお、文中人物の所属・肩書は当時。 転換点を迎えて 私ごとで恐縮ですが、現在、私は人生の節目に当たっておりまして、1つの転換点を迎えております。そのときに、こうした機会をいただきまして、大変ありがたく、皆様に感謝申し上げます。 そこで本日は、新たな段階を迎え、さらなる前進と脱皮を期しての「チームT&Y」の結成と、今後の私どもの活動の方向をお話しさせていただきたいと思います。 さて、今日の明け方ですが、素晴らしく大きな二重の虹が出現したと聞きました。八王子の北のあたりだそうですが、新出発に当たって縁起がいいということで、紹介させていただきます。 私どももこの虹のごとく、日本のみならず全世界を結ぶ架け橋たらんとの気概で、進んでまいりたいと思います。 3つの打撃 さて、港区にあります会員制クリニック、クリントエグゼを経営するT&Y株式会社は、このたび、創設10周年を迎えました。T&Yというのは、Tは私、竹岡、Yは山中孝市のことで、2人の共同経営者の名から付けたものです。 以前もお話ししましたが、2004年のこと、私は、無実の罪で逮捕され、22日間、当局によって拘留されました。 何も言われるようなことはしていないのですから、当然、不起訴となったわけですが、当時は東京地検特捜部が約80人体制で捜査する大事件とされ、勾留期間中、連日朝7時から深夜12時まで数人の検事に取り調べられ、留守中の我が家にはマスコミが押しかけるという事態となりました。 今にして思えば、ほとんど政治がらみが目的の別件逮捕でありました。自民と公明を結びつけた関係者の1人である私から、政界の裏側、政治家のスキャンダルでも引き出そうという真の目的があって、別件をもって逮捕されたということです。 私は、そういった検事の要求には一切応じないで戦い抜きましたが、連日の長時間に及ぶ国家権力を背景にした追究に、私の体と精神は限界を超え、極度のストレスから急性の食道がんにもなりました。 結果として、がん自体は大手術に至らず、治癒できましたが、肉体的打撃、精神的打撃、そして、社会的打撃という、3つの打撃を私は受けました。 社会的打撃というのは、無実とはいえ、逮捕・勾留という事態を受けて、周りにいた人が、ほとんど皆、去っていったということです。仕事もなくなりました。どうやって生活していこうかということになりました。 会員制クリニックの経営へ そのとき、山中孝市さんが、クリニックの経営を、ポンと私に託してくれたのです。 彼は、今でいう共済会をしておりました。 約30年前のこと、ほとんど横並びで、大手の生保や損保が、同じ保険料、同じサービスを提供していたのに対して、それは利用者に不利益であると考えた山中さんは、クローズで、特定の会員を対象に保険を組んで提供する事業を始めました。 それは、評判を呼んで大きくなっていきました。すると、当初は黙って見ていた大手保険会社が、危機感を持ったのでしょう、これを潰しにかかります。山中さんは、あることないこと週刊誌に書かれ、金融法違反で国会喚問まで画策されました。 そのとき、私は聞きました。「山中さん、何か恥じることはあるのか」と。 すると、「ない。断じてない」と。 「だったら、堂々と国会に行きなさい。ビクビクしているから相手が図に乗るのです。『いかに既存の生保・損保が暴利を貪っているか、全部実態を明らかにするから、どうぞ喚びなさい』と、こっちから言ってやればいい」と、私は助言しました。 その通りを山中さんが告げたところ、国会喚問の動きはピタッと止みました。 これは、私の人生の師匠である池田大作先生が、しょっちゅう週刊誌に悪意の記事を書かれていた頃のことですが、「週刊誌の記事なんてものは、一週間だけのものだ。そんなものに振り回されフラフラしないで、自身の人生そのものを考えるんだ」と、直接、先生ご自身から指導を受けたことがありました。 これも、そのまま、山中さんに伝えました。それが、大きな彼の励みになっていたようです。 そういった経緯があって、私が窮地に立たされたそのときに、クリニックの話を持ってきてくれました。 山中さんは、過去のことなど、恩着せがましいことは一切言わず「慈恵医大の前に、いいクリニックがあって、買収したところです。ついては、会員制のクリニックを一緒に作りませんか。がんになって、早期発見で元気になった実体験を持った竹岡さんは、この経営に最適です」と、誘ってくれたのです。 開設にかかった費用も、8億5千万円ほどでしたが、山中さんが全部出してくれました。 こうして私は、クリントエグゼ・クリニックの運営にCEOの会長として、携わることとなりました。ちょうど10年前のことです。 サーバント精神で目標達成 クリニックは、入会金百万円、年会費60万円、会員しか診ないという決まりで始めました。 最初はなかなか軌道に乗らず、赤字続きでした。 しかし、いったん決めたことは曲げず、日本一のヘルスケアを目指すのだと、踏ん張りました。その間ずっと山中さんは、赤字分を補填し続けてくれました。 いったん結んだ契約は生涯保障するという保険屋の精神が、そこにありました。 こうして大変苦しい船出でしたが「ここは、あなたのためのクリニックです。うちのクリニックに来たからには、わがまま放題言ってください。なんでもやります。ここで診る以上、どんな病気も見逃しません」と、サーバント精神といいますが、有能な執事のごとく、どこまでも手を抜かないサービスに徹しました。ドクターの人選についても、個人的に見て素晴らしいといえる方と提携していきました。 宣伝はほとんどしませんでしたが、口コミで評判が広まって、おかげさまで、今は定員いっぱいの540人の会員数になりました。 看護師長からは「これ以上会員が増えると、サービスが維持できません」と、言われるまでになりまして、会員募集をストップして、よっぽどの事情がない限り入会できないことにいたしました。 それでも、入会金が倍でも入会を希望される方があとを絶たず、お断りするのに苦慮するという状況となっております 「チームT&Y」結成へ 苦しいなか船出して10年、ともかく当初の目標を達成したということで、今後、新しい展開を期す段階に来ていると、考えを巡らしておりました。 そうしたなか、2014年のミャンマー訪問の頃からつながりができた方々のなかから、あるいは、大人の探検学校豪太会として一緒にエベレスト街道を歩くなどして友人となった方々との間で、一緒に何かしようということに、次第になってまいりました。 今日、ここに参加されている方では、株式会社ハゴロモの代表取締役の伊藤純一さん、それから、前回お話ししましたが、データヘルス計画や健康保険制度に詳しい清水英夫さん、そして、株式会社六本木の代表取締役の六本木二三子さんなどが、そうした方々です。伊藤さんの会社は、紀伊国屋や丸善といった全国展開の書店の運営サポートやカレンダーの出版を主要業務としながら、近年は、健康にいい食材を扱う仕事もされております。 それで、話し合うなか、会社としての営利を追求するのではなく、よりフレキシブルに社会的利益につながることをして、なおかつ皆の生活にも寄与できる仕組みを作ろうということになり、その運動体を「チームT&Y」と呼ぶことといたしました。この名前は、六本木さんの提案です。 お祝いの席には、海老の料理が出ますが、海老は成長する限り脱皮します。そのように、一歩脱皮を目指しての「チームT&Y」の結成です。 6項目の事業目標 それで、チームT&Yは、何をするかです。 前提として、これまでどおりのクリントエグゼの支援は、もちろん継続します。その上で、以下の6点を事業目標といたしました。 一、データヘルス計画推進による健康寿命延伸と医療費適正化 一、一般社団法人アンチエイジングリーダー養成機構(通称:ALCO)の充実による講演会ならびにアンチエイジングキャンプの展開 一、大人の探検学校豪太会の推進 一、世界最先端の医療技術ならびにヘルスケアシステムの海外への紹介 一、安心安全な食材の確保と健康道場の運営 一、「ともいきの国」の展開と共生社会の実現 骨太方針にデータヘルス計画 最初に掲げた、データヘルス計画推進による健康寿命延伸と医療費適正化について、まずご説明いたします。 政府の来年度の基本方針は、骨太方針といって、だいたい前年の6月に閣議決定されて、それが来年度予算に反映されるのですが、経済財政諮問会議の答申を経て今年の6月9日に閣議決定され、内閣府から発表された来年度の骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2017について)には、データヘルス計画という言葉が何回も出てきます。 このデータヘルス計画を、国レベルの政策にまでもっていったのは、私どもの働きかけの成果であると自負しております。 前回「ホノルルマラソン完歩記」の際にお話ししましたが、私の出身地である広島の友人、内海良夫さんが社長をしている株式会社データホライゾンが、その構想の元になっていて、呉市において20年近くをかけて、従来、保険診療報酬計算の事務処理にのみ使われていたレセプトを、患者さんの個々の健康状態や病気の状態、さらには地域の傾向がどういう状況にあるのかといったことが、これを分析することで目に見える形でわかるようにしました。 それは、7年前のことですが、その頃は民主党政権でしたが、広島つながりで「これを全国レベルに展開したい。何とかしてくれないか」との相談が、私にありました。 私は、民主党には実現力はないとわかっていましたから、「民主党にはできない。公明党にまず持っていって、それから自民党にも話をして、自公で国家の戦略にまでもっていこう」と、内海さんに話しました。 以来、ずっと、地道に各所に働きかけをしてまわりました。それが、嬉しいことに、今回、実を結んだのです。 ジェネリック薬で医療費削減 データホライゾンは、呉市の国民健康保険に加入している市民のレセプトを分析しました。だいたい市民全体の3分の1、6万人ほどのデータになります。 それで、具体的に何ができるようになったか。 まず、ジェネリック薬品への切り替えです。これは、漠然としたものではなく、「あなたは、この薬を使っていて、年間1万円かかっています。これを、ドクターの許可を得てジェネリック薬に切り替えたら、半額の5千円で済みます」という具合に、具体的に個人に推奨の通知ができるようになりました。 呉市では、これを5回ほど通知をするうちに半数が切り替わり、現在は、8割5分がジェネリック薬になって、薬にかかる医療費が年間1億6千万円の削減となりました。 糖尿病対策に効果 それと、私が1番注目するのは、糖尿病対策に効果があるということです 私も、空腹時の血糖値が高いのですが、医者にかかっていても糖尿病は重症化することが多く、ますます薬の量が増えていくという傾向があります。 これも、分析していきましたら、専門医が足りず、医者は忙しすぎて個人への指導が行き届いていないという現状が浮かび上がってきました。 それで、放っておいたら透析まで行きかねないという層をリストアップして、休眠の看護師さんを活用して、その人たちの生活指導に当ってもらいました。「このままでは透析になりますよ。透析になると、週1回、時間とお金がかかるようになって、大きな負担になって大変ですよ。一緒に歩きましょう。食事はこうしましょう」等々と、きめ細かく指導するようにしました。 これを、だいたい3ヶ月のうちに面談で3回、電話で6回といったリズムで丁寧な対応を実施したところ、補足した透析予備軍の方々のうち透析に進んだのは、3年間で1人も出ないという成果を出しました。 普通は、透析予備軍のうち、1割から2割は透析に進んでしまうものですが、1人も出さなかったというのは快挙です。だいたい、1人の透析者には、年間600万の公費がかかりますから、大きな医療費の削減効果となりますし、何より、本人にとって素晴らしいことです。 データヘルス推進議連の結成 それで、政治家では、安倍晋三総理、田村憲久厚生労働大臣(当時)、父上と兄上が医者である後藤田正純衆議院議員、公明党では斉藤鉄夫衆議院議員、あるいは坂口力元厚生労働大臣といった方々を介して、データヘルス計画の効用を説き続けてまいりました。 それが功を奏して、データヘルス推進議員連盟の結成がなり、その議連で関連事項を集約して検討されるようになりました。 議連の会合には、内海さんをはじめ、実際に透析予備軍へ看護師を差し向けて生活指導に当たられている現場の総責任者である広島大学(大学院医歯薬保健学研究院成人看護開発学)の森山美知子教授といった関係者に証言をいただきました。 その結果、データヘルスを推進して健康長寿に活かし医療費の適正化に寄与するといった趣旨の文言が明文化されて、はっきりと国策に取り入れられることとなりました。 予防に着目 全四章からなる政府の骨太方針を見ますと、第2章の第2項「成長戦略の加速等」の1番目に「Society5・0の実現を目指した取組」とあって、その最初「戦略分野」の1に、データヘルスの考え方の反映が見られます。 この「Society5・0」というのは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、第5番目の新たな経済社会をいう言葉で、超スマート社会ともいわれるものです。 その新たな社会の実現を目指す、一丁目一番地に、それがあるのです。 そこに「健康寿命の延伸:健康管理と病気・介護予防、自立支援に軸足を置いた、新しい予防・医療・介護システムを構築する」と、明記されています。 ここで大事な点は、予防に着目している点にありますが、これは、近年になってから改められたものです。 従来、力を持っている医師会には、医者というものは病気を治すものであるとの先入観がありまして、国の予算は病気の治療には大いに使うべきであるが、予防に使うものではないとの考えが主流でした。 ピロリ菌検査に保険適用 予防に予算をつけるというこの転換に、一番、尽力しているのが、前回もお話ししましたが、自身ドクターでもある公明党の秋野公造参議院議員です。 その成果の1つが、胃がんの主原因とされるピロリ菌の検査への保険適用です。 ピロリ菌が胃の中に巣食っていることと胃がんの発生率はリンクしていることが学術的にわかっていて、その検査をして薬で菌を除去すれば、胃がんの予防になるというわけです。 この保険適用によって、たくさんの人がピロリ菌検査をするようになって、胃がんの発生率が目に見えて減ってきたと聞いています。 運動指導に診療報酬 さらに秋野さんには、呉市の取り組みを細かく伝えておりまして、突き詰めれば、運動をしっかり指導することが健康維持に効果的であることを話しました。 具体的には、前回に取り上げました、スロージョギングやインターバル速歩など、エビデンスのある運動をすることによって、透析に行かないで済むようになったという事実を伝えました。 これを聞いた彼は、頑張ってくれて、今年から実現したのですが、医者の運動指導に診療報酬として百点が付けられることになりました。 こうしたことは、誰も注目していなかったことかもしれませんが、とても大きな制度改革です。 この制度の適用は、今は専門医だけですが、これが医師全般に広がっていけばいいと思っています。 ただ、その際に、どんな運動を勧めたらいいか、これは国会でも詰められていませんから、これからの課題ですし、そのメニューを私どもチームT&Yとして提供しようと考えています。 予防とデータヘルス 骨太方針に戻りますと、先ほどの第2章の第2項「成長戦略の加速等」の2番目「新しい需要の喚起」の「1 健康・予防分野の需要喚起」に「『生涯現役社会』の実現に向けて、国民一人ひとりが生活の質(QOL)を高め健康寿命を延ばせるよう、ICTやデータを活用した健康・予防サービスへの更なる需要拡大を図る。国民全体の健康・予防への意識を高めるため、データヘルス等を活用し、企業の質の高い健康経営を促進する。加えて、自治体や企業・保険者における重症化予防等の先進的な取組の全国展開を図る。また、コンパクト・プラス・ネットワークと地域包括ケアの連携強化を図るなど、健康・予防に着目したまちづくりに取り組む」等と謳われており、予防とデータヘルスが結び付けられております。文中のICTとは、ITともいいますが、情報通信技術のことです。 社会保障費適正化にインセンティブ さらに、社会保障費の項目にも、データヘルスへの言及があります。 社会保障費は、年々上がっています。 その社会保障費の大部分を占めるのが医療費で、去年の国全体の医療費は、41兆5千億円となっています。 そこで、骨太方針の第3章「経済・財政一体改革の進捗・推進」の第3項「主要分野ごとの改革の取組」の1番目「社会保障」の1番目「基本的な考え方」に「全ての団塊の世代が後期高齢者となる2025年度を見据え、データヘルスや予防等を通じて、国民の生活の質(QOL)を向上させるとともに、世界に冠たる国民皆保険・皆年金を維持し、これを次世代に引き渡すことを目指す」と、あります。 逆に言えば、このまま何もしなければ、これらは破綻するということです。 そこで、診療報酬、介護報酬の適正化を図るとの方針が示されています。 そして「公平な負担の観点を踏まえた効果的なインセンティブを導入」すると、あります このところは実は、前回も言及しましたように、私どもがずっと言い続けてきたことです。 お役人というのは、医療費を削減しても、予算を削減しても、褒められません。むしろ、余計なことをするなと、上役から怒られてしまうというのが現状でした。 意欲のある市町村の年金課長とか生活保護の担当者が、いくら削減努力をしようとしても、上司から「勝手に与えられた予算を減らすとは、何事か」と、止められて、ひどい場合は、それをした担当者は飛ばされたといいます。 それが、減らした分、インセンティブ(見返り、報奨金など)を出すということが、公式に決定されたのです。画期的なことです。 また「社会保障」の項目の3番目「医療費適正化」に「データの『見える化』」が謳われて「国保連等とともに保険者等のビッグデータの利活用の支援など、質が高く効果的なサービス提供に寄与するよう取組を進める」と、呉方式が明確に採用されています。 服薬情報とデータヘルス それから、服薬情報の共有についてです。 「社会保障」の項目の7番目「薬価制度の抜本改革、患者本位の医薬分業の実現に向けた調剤報酬の見直し、薬剤の適正使用等」のなかに「かかりつけ薬剤師・薬局が地域における多職種・関係機関と連携しつつ、服薬情報の一元的・継続的な把握等、その機能を果たすことを推進する。そのための方策の一つとしてICTによる情報共有(あらゆる薬局で活用可能な電子版お薬手帳等)を推進する」とあります。 1人の人が同じ薬を違うところで処方されて、無駄にたくさんもらっていたり、複数の医療機関から薬をいろいろ処方されて、飲み合わせが悪くて体に深刻な影響を与えている場合があったりということを、データの共有で無くそうということです。 この服薬の適正化も、私どものデータヘルス研究の主なるテーマの1つとして、健康寿命の延伸化と医療費適正化に寄与したいと考えています。 生活保護とデータヘルス また「社会保障」の項目の最後、9番目に「生活保護制度、生活困窮者自立支援制度の見直し」の項目が付けられています。 私は、これが、1番、画期的だといえます。ここにも「医療扶助費の適正化のため頻回受診対策や後発医薬品の使用促進を強化するとともに、生活習慣病予防等のための効果的・効率的な健康管理に向け、データヘルス実施の仕組みを検討する」と、記されております。 前回も言いましたが、生活保護の見直しは、全国どこも手をつけられない、いわば聖域扱いでした。 それを、まず、福岡市がやってくれました。 前回、市長選に際して医師会の推薦を断ったという高島宗一郎市長のエピソードを紹介しました。「医師会の推薦は、いらない。なまじ推薦なんか受けると、私の政策遂行に支障が出る」とのことでした。医師会の方が「頼むから受けていただきたい」と、頭を下げて、推薦状を置いていったということも、お話ししました。 また、共産党に対しても「国の厄介者」との考えで、非難しています。 医師会は、生活保護者の診療をすれば、その分だけ市や国からの診療報酬が入るから、共産党は、弱者の味方のふりをして党勢を拡大しようとの魂胆だから、両者は、生活保護に手をつけることへの2大抵抗勢力となっていたのですが、市長は以上のような態度で臨むものですから、医師会も共産党もなすすべなく、昨年のことですが、初めて生活保護の対象者に、データヘルスの予算をかけることができました。 そして、生活保護者へのレセプトの見直しが実現しました。 すると、普通の国民健康保険の加入者に比べて、透析に行く率、費用、寝たきりになる率も、どれも3倍となっているといったことが明らかになりました。 つまりは、もちろんそうでない方もおられますが、自分の健康管理ができていないから生活保護になってしまう場合が多いとの側面が浮き彫りになったのでした。 ということは、その人たちの健康管理の指導次第で、事態の改善が見えてくるということです。 そこで、呉方式で、指導の手を入れたところ、まだ最終報告は出ていませんが、寝たきりになる率、透析になる率等が、目に見えて減ってきたということです。 福岡市では今年も同様に継続しており、今後も続ければ、データヘルスは、さらなる改善に貢献できるものと思っています。 ALCOの取り組み さて、一般の人間ドックや健康診断では、各検査係がベルトコンベアのように流れてきた人を検査するのに対して、私どものクリニックは、すでにお話ししたように、初めから終わりまで1人に専属の医師と看護師が付いて、生活状況を聴き、自前のMRIや内視鏡といった検査機器を駆使して、会員個々に徹底的に尽くすという姿勢で臨みます。ですから、どんな病気も見逃さないという点においては、日本一の精度であるとの自負があります。また、病気が見つかったときは、もともとが隣の慈恵医大の関連クリニックでしたから、医大と提携して万全の体制を整えており、専属の医師が手に負えない場合は慈恵医大の専門医師に執刀していただく等、会員個人が納得し安心できる、あらゆる最善の手段が取られるようにしております。 ただ、どうして血糖値が高いのか、どうして血圧が高いのか、あるいは、どうしてガンになったのか、といった深い問いへの解答は、なされていません。 それらは、いかに手を尽くしても悪化してしまうという現状があることを前回お話して「食事、運動、生きがい」に光を当てた白澤卓二先生の理論を紹介しました。 この「食事、運動、生きがい」をテーマにした人材育成が急務であるということで立ち上げたのが、一般社団法人アンチエイジングリーダー養成機構、ALCO(アルコ)です。 その経緯は前回話しましたので割愛しますが、人事を紹介しますと、理事長は白澤卓二先生、名誉会長が三浦雄一郎さん、副理事長に温泉を活用した健康法を推進されている前橋温泉クリニック院長の岩波佳江子先生、専務理事兼運動担当講師に三浦豪太さん、理事兼講師にボールエクササイズをされている中尾和子先生と福岡大学スポーツ科学部教授でスロージョギングの田中宏暁先生、そして、事務方として、監事に税理士の斉藤公貴さん、常務理事として私が担当させていただいております。 また直近には、福岡でのプログラム(5月27日・28日)がありましたが、これを機に人事を充実させました。様々な先端医療に取り組んでおられるクリニック真健庵院長の吉村尚美先生、健康長寿の料理研究家で海外にたくさんの人脈のある志賀ダニエラさんに、それぞれ理事についていただき、そして、先ほども紹介した清水英夫さんにも理事兼事務局長に就いていただきました。 さらに、運動担当講師にスロージョギングの佐藤紀子さん、インターバル速歩の能勢博先生にもお願いいたしました。ハゴロモの伊藤さんにも事務局を手伝っていただくことになりました。 安心安全な食の提供 ALCOは「食事、運動、生きがい」の3点を主軸に据えているわけですが、そのなかの食事については、一歩前進させることを始めました。 それは、安心安全な食事の供給にまで踏み込むということです。 これには、伊藤さんが担当となって、この人が作ったものなら間違いないというものを、全国からリストアップして、供給体制を作ろうと考えております。 運動講座の充実へ 医師の運動指導に点数が付くようになったことを、先ほどお話ししましたが、この運動指導に以前から力を入れておりましたALCOでは、今回の診療報酬改定を受けて、医師、看護師、管理栄養士、保健師、健康運動指導士といった有資格者が運動メニューを決定する仕組みにいたしました。 その1つになるのが、田中宏暁先生のスロージョギングです。天皇皇后両陛下が採用され、エビデンスも確認されていることは、前回お話しした通りです。 同じく能勢先生のインターバル速歩も、その1つです。 さらに、中尾和子先生のボールエクササイズ、そして、三浦豪太さんには、トレッキング(山歩き)の指導をしていただく予定です。 ともかく、こういった運動のメニューを国にも提案し、全国で展開していこうと考えております。 協賛企業と特別会員 以上のような活動を円滑に行うために、協賛企業を募りました。また、それらの企業から特別会員にもなっていただいております。 紹介しますと、特別会員議長として新日本製薬代表取締役社長の後藤孝洋さん、特別会員としてベストアメニティ代表取締役社長の内田弘さん、かねふく代表取締役会長の竹内昌之さん、データホライゾン代表取締役社長の内海良夫さん、ゼネコンの松村組代表取締役社長の川本宏祐さん(代理・久馬伸一さん)、共生バンク代表取締役の柳瀬公孝さん(代理・松村久一さん)、総合商研常務取締役の高谷真琴さん、新生ビルテクノ代表取締役社長の荒川洋さん、豪太会会長でJP東京特選会(JPTT)会長の牧野穎一さん、BiVaホールディングス代表取締役の大谷彰宏さん、福岡運輸ホールディングス取締役会長の島田隆士さん(代理・藤島さん)、そして、株式会社六本木の六本木さんにも参加いただいております。 今後、こういった特別会員に連なっていただいた企業や自治体などの主催で、ALCOのイベントを全国展開してまいりたいと考えております。 大分飯田高原でALCOのキャンプ 先日、六本木さんと大雨のなかでしたが、湯布院と黒川温泉のちょうど中間にある飯田(はんだ)高原に行ってまいりました。 ここに、六本木さんが、発達障がいの子どもたちの就労支援や教育のための施設、あるいは農園を作りたいとのことで、現地を視察した次第です。 そこに、エル・ランチョ・グランデという乗馬クラブのオーナー瀬戸富美さん、歯科医師のご夫婦といった様々な地域の方々が集まってくださったので、ここでもALCOの話をしました。 また、後で紹介しますが、凍結解凍覚醒法という方法を用いて美味しいバナナが日本の気候でも栽培できるのですが、そのバナナなどを栽培する農園「黄金の里」の構想をお話ししました。 そこで、まずALCOのキャンプを、その場で組むことができました。名称は「ALCO特別会員事業:株式会社六本木協賛、ALCOキャンプ イン 大分・飯田高原」で、開催期日は今年の12月1日(金)から3日(日)です。 初日は、午後遅く現地に到着して、三浦豪太さんの講演「父雄一郎のイキイキ人生を語る」と、エル・ランチョ・グランデのウェスタン乗馬牧場でバーベキューです。 翌日は、最初に、日本の気候でのバナナの栽培法を考案し、岡山で「もんげーバナナ」として実際に栽培されている田中節三さんの講演「もんげーバナナを飯田高原へ」です。「もんげー」とは、岡山弁で「ものすごい」という意味だそうです。 その後、農業ハウスの視察、それと、エル・ランチョ・グランデの瀬戸さんが6つの美術館からなる「九州芸術の杜」もされていますので、その視察です。 午後は、ホースセラピーで、馬に乗って心身をリラックスしたいと思っております。そして、このキャンプのメイン、白澤卓二先生の講演「百歳まで元気なアンチエイジング」があって、宿泊のホテル「オーベルジュ・コスモス」で懇親パーティとなります。 最終日は「三浦豪太と登る坊ガツル」です。この坊ガツルは、大分の竹田市にある標高1200mの湿原で、『坊がつる讃歌』(作詞神尾明正、補作詞松本征夫、作曲竹山仙史)という歌で知られているそうです。この歌は、戦前に広島高等師範学校の山岳部の歌だったもので、歌手の芹洋子が歌って1978年の6月から7月にNHKの「みんなのうた」で放映され、全国的に有名になったとのことです。 以上が、2泊3日の内容ですが、こういったキャンプは、その前の11月にも前橋で企画しておりまして、このような形のイベントを、ALCOとして全国展開してまいりたいと思っております。 大人の探検学校豪太会の発展 ALCOの掲げる3項目のなかの特に「生きがい」を推進するものとして、これも以前からお話ししてまいりましたが、大人の探検学校豪太会があります。。 これは、三浦豪太さんと意気投合して始めたもので、会長に牧野穎一さん、私は、その代表世話人となっておりますが、ネパールのエベレスト街道を行くといった、ドキドキワクワクする活動をやっております。 今年の10月にも、エベレストビューホテルまでの行程を計画しております。また、年2回、三浦半島の逗子で1日トレッキングをして、海岸でバーベキューをする等の親睦を図る会を企画してまいります。 最高レベルの医療体験ツアーと「ともいきの国」 次に、世界最先端の医療技術ならびにヘルスケアシステムの海外への紹介です。 先ほど紹介したALCOの特別会員で、私の友人でもある柳瀬公孝さんが、一般社団法人「ともいき(共生)の国」の構想を、このほど発表されました。 資本主義の奪い合う世界から、与え合う共生(ともいき)の国へという理念をもって、運動を起こそうというもので、現在、その実現化への準備をしております。根底に、みんなが地球のオーナーであるという考えを持って、みんなが地球のことを考えて行動していこうというものです。 その柳瀬さんの活動の一端に、三重県の伊勢に、安土桃山文化村があって、約10万坪の広さを持つテーマパークですが、そこを大規模に改装して「伊勢ともいきの国城下町整備」と銘打って「ともいきの国」のサンプルを、そこに示そうという構想があります。 そこには、信長の安土城天守を原寸大で再現したものがあるのですが、そこを宿泊施設として海外の富裕層に宿泊してもらい、世界に日本文化の素晴らしさを発信する舞台にしようというものです。 これは、新聞等でも「信長気分 1泊500万円」と報道されていますが、そこには6部屋ありまして、お付きの人も含めて泊まれますから、全城を貸切にすると、1泊合計3千万円となります。この宿泊費には、付随するイベントや乗り物代、食事代等、全費用が含まれています。 ここに最初に泊まる人を連れていきたいと考えている吉田さんという女性がいます。 この人は、アラブの王族とつながりがあって、つまりは、アラブの王族に、まず泊まってもらおうとしています。 その吉田さんの呼びかけから、その方たちに日本の良さをアピールするものを、六本木さんを中心に用意することになりました。 それで、私どもにも相談があり、何を用意したらいいだろうかと話し合うなか、やはり日本の最高レベルの医療を提供するのがいいのではないかと、なりました。 具体的には、ともいきの国の傘下にあるクリニックが行うものですが、幹細胞療法、免疫細胞療法、幹細胞培養上澄み療法等、日本が世界の最高レベルにある療法があって、それらを提供しようというものです。 そして、その前に行う、健康診断、人間ドックは、私どものクリニックがあります。 また、健康だけでなく美容という点にも力を入れて、健康と美容の日本最高レベルの医療を体験していただくツアーを企画することになりました。 ともかく、以上の企画を手掛かりに、世界最先端の医療技術ならびにヘルスケアシステムの海外への紹介を始めてまいります。 安心安全な食材提供と健康道場 続いて、安心安全な食材の確保と健康道場の運営についてです。 なぜ、こんなに、がんになる人が多いのでしょうか。 それは、突き詰めると、その要因は食べ物にあります。 世界には、遺伝子組み換えの小麦といったような、長期的に見ると大変危険な食品が出回っています。 白澤先生に言わせると「コンビニで売られているものばかり食べていたら、100%がんになる」とのことです。 それで、誰が、どういう方法で作ったのか、はっきりわかって、安全、安心な食材を提供しよう、それとともに、私もがんを経験していますが、がんになった後の人生をフォローアップするためにも、健康道場をやろうということです。 私は、年4回、ハワイに行っています。みんな、遊びに行っていると思っているようですが、実は、ハワイにある健康道場に行っています。 ハワイの民間療法で、海に浸かって、砂にもぐって2時間ぐらいじっとして、汗をかきます。日本でも、フグの毒に当たった人を、首から下を砂に埋めて治すという民間療法があったそうですが、砂にもぐって、体にたまった毒素を出すわけです。 これは、大変な辛抱が必要で、人によっては5分も我慢できないほどです。それで、毒素を出して、その時に食べるものは、ハワイの果物と野菜だけです。あとは、せいぜい魚ぐらいです。このときは、お酒は1滴も飲みません。 日中はゴルフをしますが、これも遊びではありません。観光客は誰も行かない、ハワイ州の9ホールのゴルフ場があって、料金は16ドルで安いのですが、自分でカートを手で引いて廻って、水も自分で用意して、汗だくになるのですが、シャワーもありません。しかしこれが、海風に当たって、汗をかいて、健康にいいということです。これが約2時間あって、夜は食後、必ずスロージョギングを約1時間半です。 血糖値がその場でわかる装置があって、それでデータを取りますが、糖尿病はやはり生活習慣病といわれるだけあって、こういった食事と運動をすれば、はっきり効果が現れます。 それで、リトリートメントホテルというのですが、こういった健康道場を日本に1つ、熊谷に権利を持っているホテルがあるのですが、そこを拠点として、5日から10日くらいのパッケージで行いたいと考えております。 そこで出す食材は、それこそ出どころが全部わかっているものにします。その食材の調達は、伊藤さんにお願いして、全国から安心安全な食材を提供しようと考えています。 ハラル対応 ついでに申し上げれば、先ほどのアラブの王族の方々への食材は、さらにハラル対応が必須条件になってきます。イスラムの教えに照らして問題のない食材であることを証するハラル認証付きの食材を用意し、専門の調理人を養成して、ハラル対応となりますが、例えば伊豆の下田に洛邑(らくゆう)というリゾートホテルがあって、1人1泊20万円程度ですが、そのクラスのホテルを数ヶ所選んで、食材を用意して滞在をしていただくようにしようと考えています。このことについても、伊藤さんにお願いしたいと思っております。 日本発ブランド、アマテラス それから、先ほどの1泊500万円の伊勢の「ともいきの国」に戻りますが、そこで販売するブランドを作ろうということにもなりました。 このブランド名は、アマテラスと名付けて、世界のブランドに肩を並べる日本発のブランドに育ててまいりたいと考えております。 たまたまですが、六本木さんの飯田高原で所有する馬が、アマテラスだそうです。それで名付けたわけではないのですが、偶然の一致です。 食の問題を解決する凍結解凍覚醒法 それから、月刊誌『コロンブス』(東方通信社)を紹介します。 その7月号に「氷河期バナナが人類を救う」との記事が掲載されており、そこに、日本経済新聞社の主催で東京で開催された世界の農業者が集うアグリテック・サミット2017において、ベンチャー・コンペティション部門の最高賞「SMBC賞」を受賞とあって、受賞者の写真が載せられています。 この最高賞受賞の記事は、主催者である日経紙面にも掲載され、世間から注目され始めてきておりますが、この受賞者こそ、先ほどお話しした凍結解凍覚醒法を用いて美味しいバナナを日本で実現した田中節三さんです。 凍結解凍覚醒法というのは、植物の種に一度、零下60度という氷河期の気温を人工的に体験させるというもので、それを経た植物は、数10倍の能力を発揮するようになり、それまで育たなかった場所でも、立派な実をならせるようになるというものです。 先日、岡山の笠岡にある、田中さんの開発したバナナ等を栽培する農場(農業生産法人株式会社プランター:代表取締役・小堀秀男さん)を、伊藤さん、清水さん、六本木さんらとともに見てきましたが、たわわにバナナが実っていました。 同じところには、パパイヤの栽培もされていましたが、田中さんが「採っていい」と言われるものですから、その場で試食させていただいたのですが、実に美味いものでした。 それに、果物というものは、皮の近くにミネラルなど豊富な栄養があるのですが、田中さんのところは無農薬で育てられていますから、安心して皮ごと食べられるのです。 これは、今後、ともいきの国の1つの事業にもなりますし、安心安全な食品の確保というチームT&Yの有力事業の1つとなり、健康道場の運営にも関わってくるものと考えております。 この方法では、ナツメヤシやコーヒー、カカオなど、他の作物にも応用ができ、まずは大分の飯田高原にモデルケースを作って、子どもたちの就労支援としたいと思いますし、フルーツパーラーなどの店を併設するなどして収益を上げて生活支援に供するとともに、たくさんの人を呼んで観光にも役立たせたいとも、田中さんと話し合ってきました。 田中さんも、大変に喜ばれて、全力あげてこれに参加するとのことでありました。 幻のコーヒーの復活 田中さんについて、もう1つお話しすると、幻のコーヒーの復活があります。 エチオピアのアビシニア高原が原産で、南米の標高3000m近くの高地に広く生息していたティピカというコーヒーがあって、それは、世界一美味しいと評判のコーヒーでした。しかし現在は、最盛期の10万分の1しか生産されておらず、絶滅が危惧されています。 どうしてそうなったかというと、それは、ある鳥の力によってできるのですが、その鳥が絶滅したからとのことです。その鳥は、体内に取り込んだコーヒーの豆を、特殊な酵素で熟成させるようにしていました。1960年代にその鳥が絶滅して、以来、コーヒーの木も新たにできなくなったというわけです。 ところで、そのコーヒーの木が、台湾の阿里山に生えていることがわかりました。 台湾のコーヒー栽培は、1885年頃にイギリス商人によって始められ、ティピカ種のコーヒーは、第2次大戦前の日本統治時代に日本人がインドネシアのスマトラ経由で持ち込んだものと考えられているようですが、いつしか、そのコーヒーの木は野生化していました。 それを現在、台湾の少数民族が、標高1000mを越える阿里山の高地で細々と栽培しているのですが、この幻のコーヒーを増やせないものかと考えた台湾の研究機関が田中さんに相談、バナナと同様に凍結覚醒させたところ、鳥の力に頼らずとも発芽させることに成功されました。 このコーヒーの種は、台湾が誇る超高級コーヒーと位置付けられ、海外への持ち出しは禁止されているのですが、田中さんにだけは許可されて、岡山で、増殖されるようになりました。 私も、岡山で育てられた無農薬のコーヒーを試飲させていただきましたが、本当に美味しいコーヒーでした。 幻のコーヒーを備前焼で これを、備前焼のカップで飲むと、最高です。 それで、私の友人である備前焼の渡辺節夫さんとも話し合って、幻のコーヒーと備前焼のカップ6個、それに、このコーヒーは、お茶のように煮出して飲むのがいいとのことで、そのための琺瑯の鍋を付けてセットにして、1セット10万円で、10万セットを売り出そうとのもくろみを、チームT&Yの事業の1つとして始めることを考えております。 「ともいきの国」の活動方針 最後の「ともいきの国」の展開と共生社会の実現については、すでに多くをお話ししましたので、ここでは、まとめられた活動方針を示して、結びとしたいと思います。 まず、心の側面として「あり方」「生き方」「求め方」の3項目が、掲げられています。 第1番目の「あり方」としては「地球資源のオーナー」です。 これは、例えば会社であれば、ゴミが落ちていたとして、アルバイトの人であれば、これを拾うか拾わないか、さほど気にしないでしょう。それが、会社のオーナーであったら、自分がオーナーだから、非常に気になるだろうし、間違いなく拾うと思います。 それと同じで、地球に対しても、自分がこの地球のオーナーであるとの自覚を持つことができれば、汚染されては困ると考えるし、限りある資源を大事にしようとも努めるでしょう。そこで「地球資源のオーナー」と、掲げたわけです。 第2番目の「生き方」としては「霊(たましい)の成長を追求」です。 これは、お金儲けではなく、自身の精神の成長こそ人生の価値であるとする。それが、正しい生き方ではないかということです。 第3番目の「求め方」では「愛の為に生きる」を、掲げています。 これは、どこまでも相手のためにという愛を動機にしていきましょうということです。 続いて、経済への提言として、3項目が挙げられています。 第1番目には「創造力は無限、故に資源は無限に生産できる」ということ その象徴が、先ほどの凍結解凍覚醒法で、それこそ農作物の桁違いの供給ができるようになる。このように知恵を発揮することで、自然にある無限の可能性を開くことができるということです。 第2には「富と情報・財とサービスの所有から共有(シェア)」です。 車でも、買うよりも皆でシェアしていく。あるいは、ネットを利用して自家用車をタクシーがわりに使うウーバーというシステムがアメリカ発で行われているように、今後のシェア社会への移行は必至と考えて、これを見据えていこうということです。 第3には「高質と高効率の高質再生産(高付加価値経済)」です。 これは、品質と効率を高める経済への移行で、人類の諸問題を解決できるという考えです。 それから、国造りの基礎となる「人づくり」「物づくり」「街づくり」の3項目を掲げています。 「人づくり」は、国や地域の主権者を育てることであり、真の民主主義の確立につながります。 「物づくり」は、価値ある物づくりを謳っており、それによって、心と体の欲求を充足することができるとの考えです。 「街づくり」は、共に生きる街、特に高齢者が活躍する街を目指すべきであるとしています。 以上のような理念のもと、先ほど挙げました、伊勢の「ともいきの国」城下町整備から、シニアオリンピックの開催まで、夢の構想が打ち出されています。 以上の「ともいきの国」の活動方針を踏まえ、チームT&Yとしては、健康道場関係、革新的医療および農業分野の事業を特に推進していきたいと考えております。 ともかく、これからの人生、どうせなら思い切って、ワクワクドキドキする新しく楽しい事業を、チームで挑戦してまいります。今後の私どもチームT&Yを、ご期待ください。 《Q&A》 【質問1】 ジェネリック薬への切り替えのお話がありましたが、最近、そうした薬を製造している会社が、中国で製造された成分を使っていた等、ジェネリックにまつわる良からぬ事件がありました。心配はないのでしょうか。 〈竹岡〉呉市の場合でいえば、85%の利用率ですが、一切、弊害は出ていないと聞いています。ともかく、ジェネリック薬であろうが何であろうが、日本の厚生労働省がチェックして、認めたものでないと発売できない仕組みになっていますから、日本で売られているものについては、信頼していいと思います。 【質問2】 レセプトをデータ化するとのことでしたが、個人の病気の情報というのは、個人情報の中でも最高機密です。集められたデータが、闇で売買される恐れはないのでしょうか。もしそのようなことがあれば、逆効果になりますが。 〈竹岡〉これも呉市の場合ですが、市の健康保険課がデータホライゾンに外部委託して、アウトソーシングの形でやっています。その際に、データ解析は本来の目的以外には絶対に使わないという契約を結んで、厳格に運用されています。今後、マイナンバーと連動することで、どこでどんな治療を受けたか、どこでどんな薬を処方されたか、すべて把握されて、より実の上がる仕組みとなることが期待されますが、それと同時に、あってはならないことですが、そうした情報漏えいの危険性は増していきます。データ管理は、幾重にも間違いのないように、さらに厳格な仕組みを整えなくてはならないでしょう。今後の大きな課題を、指摘していただきました。 【質問3】 これまでのお話を聞いていますと、竹岡さんは、ハワイに行かれたり、カンボジアに行かれたりと、常に飛び回っておられますが、本来のお仕事は、どうされているのでしょうか。(笑い) また、こんなにエネルギッシュに動かれるのには、何がそうさせているのでしょうか。 〈竹岡〉そうした活動は、多くはボランティアでやっていますが、けっして遊んでいるわけでもなく、また、1人で行っているのでもありません。 ハワイの健康道場にしても、私どものクリニックに早い時期から入会されている方で、しかも気になっている方を、何としても健康になっていただきたいとの思いから、そこにお連れしているということなのです。 それと、私を今のようにさせているのは、最初にお話しした体験が大きかったと思います。 無実の罪で逮捕され、いつ出られるかもわからない。しかも、それまで築いてきたすべてから拒絶される。耐え難い圧力のなかで、一度は、いわば死んだ身となりました。 そうしたときに思ったのは「俺はどうせ天下の素浪人だ。風呂敷包み1つで広島から出てきた人間じゃあないか。そもそも失うものなど何もない」ということです。 そう腹が決まって「これからの人生、おまけだ」という考えになりました。 もともと、破天荒な性格ではありましたが、この体験があるので、それを思えば少々の強行軍でも突き進めるのです。 幸い、経営するクリニックをはじめ数社から顧問料など一定額の収入がありまして、生活のためのベースは確保できているので、あとの収入は、みんなのために使えるわけです。それで、私の場合、入るものは基本的に全部使っていますから、貯金はありません。 このしわ寄せを食っているのが、私の女房です。感謝しております。 |