田渕 隆三 ギリシャにサントリーニ島と言う、世にも美しい夢の島がある。 このサントリーニで2004年3月16日夕刻、日輪の西に傾く頃、竹岡誠治さんの不起訴、解放の知らせを日本から受け取った。人生には、いろいろの事が起こるものである。恐怖(くふ)悪世の世の中である。何が起こるかわからない。打ち寄せる波は、バンザイ、バンザイとこだまする。今まさに新しい文明を支え創造する、重要な人の生還であった。
昨夜来、風がヒューヒューと鳴っていた。今朝はカルデラの海の上に、龍のように昇る雲があった。風の中で、サントリーニのイアの街から、海に沈む太陽を描いていた。真っ赤に染まる空のなかに、黄金の太陽があった。今回は、勝利を確定しようという思いで、筆を取っていた。充実した人生には、大往生がある。見事な夕陽は、明日を約束する勝利のしるしであった。2008年の今再び、3月16日を、ここサントリーニに来て迎えていた。 風のようにこだわりなく 節を曲げない岡にあって言を成していく |