2010年8月 長い間、それもおおよそ2000年もの間、散り散りばらばらになっていた家族。家族というと今生きている時代の親族関係に思えるが、私はあえて家族という言葉を彼らには使いたくなる。その2000年もの間、散り散りばらばらになっていた家族が一つの民族として、国家という形ある家族が集まる場所を造った物語と歴史に、私はずっと興味を持っていた。 4月20日に成田を発ち、22〜23日まではトルコに、そして26日にイスラエルのテルアビブの飛行場に降り立った。 エルサレムではキングデービッドホテルに宿を泊った。ここはダビデ王のホテルでもある。ここに2泊して2000年の旅に出る思いでエルサレムを歩いてみた。 この西の壁である「嘆きの壁」の上は神殿の丘と呼ばれている。ここには巨大なアル=アクサー・モスクやイスラーム建築の傑作とされる岩のドームが建っている。岩のドームにはムハンマドが昇天し旅立ったという伝説があるところだ。その地下には最後の審判の日にすべての魂がここに集結してくるとされる「魂の井戸」がある。そう、ここはイスラム教の聖地なのだ。 旧約聖書にはアブラハムが唯一の神に出会ったことについて書かれていて、神はアブラハムに、その子孫を星の数ほど多く、約束の地に増やすことを約束されたとされる。その約束の地がここエルサレムだ。 このユダヤ教の原点、キリスト殉職の地、イスラエル教の聖地は、「エルサレムの旧市街とその城壁群」の名で1981年に世界文化遺産に登録されている。 |